竹の生命力を頂く

温かな昼下がりに庭に出て飛び石の上に乗ると、ぐらりと揺れました。おかしいなぁ、どうなちゃたのでしょう。かなり重たい石を、好奇心をパワーに「よっこらしょ!」とひっくり返してみました。

おや、まあ。いったい何が出て来たと思います? 大判小判がザクザクと! 嘘です。

驚いたことに、そこにはタケノコが斜めになりながらも必死の面持ちで、頭を出しているではありませんか。脇道に逸れますが、「タケノコ」は「竹の子」と書くより「筍」と書いた方が食材の趣が出ますよね。ま、いずれにせよタケノコが重い石を持ち上げていたのでした。

聞いた話では、孟宗竹が縁の下から伸びてきて、畳を持ち上げたことがあったとか・・・。それならば庭の飛び石ぐらいは朝飯前なのかもしれません。恐るべしタケノコの成長力です。

食とは自然の力を頂くことです。見れば不細工に曲がってはいますが、素性は正しい孟宗です。食べられそうです。いや、むしろ筍畑の過保護に育ったタケノコより根性がありそうです。食べたら、さぞかしパワフルでしょうね。力が湧いてくるかも。頭を過る「根性若竹煮」。視線を廻らせれば、ちょうど山椒が若芽を出しているではありませんか。

えっ、食べたんだろうって? う~ん、それは秘密にしておきましょう。

石川さゆり

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