黄金の猿

劇団桟敷童子の『黄金の猿』を観に行きました。

演出の東憲司さんは今年の明治座と新歌舞伎座で『奇想天外-マダム貞奴オッペケペー人生』の演出をお願いした方で、劇団の役者さんも両公演に出演してくれた皆さんです。

お芝居のテーマは虐げられた人々の深い悲しみですが、根底を流れる人間愛は東さんらしく健在です。境遇の近い弱者同士の憎悪は、生き残るためとは言え、現実の世界を鋭く照らし出します。権力者はその構造の上に胡座をかいている・・・。

深く普遍的なテーマです。

こんなことを言うと難しいお芝居のようですが、最初から最後まで息をつく間もないテンポと大胆な舞台美術で、アドリブでしょうか?シリアスな場面に思わず吹き出してしまう台詞。本当に楽しいお芝居でした。

役者の皆さんも素晴らしいエネルギーで熱演です。生傷が絶えないんじゃないかしらと心配になります。詳しく話すとネタバレになるので控えますが、最前列ではビニールシートが大活躍です。

公演会場は江東区新大橋のベニサン・ピットで12月7日(日)までです。

たとえ滅びの中にあっても、希望を捨てず「生きて行く!」そんなことを、改めて心に刻むお芝居でした。

石川さゆり

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