筑紫さん安らかにお休み下さい

久しぶりの休日で自宅に居りましたら、筑紫さんの訃報が伝えられました。突然の大きな悲しみと驚きで、 一瞬何が起きたのか分かりませんでした。

今年1月には私の誕生日にもおいでいただき、時の経つのも忘れて楽しいお話に花が咲きました。 芸術大賞のお祝いにと食事に誘って下さり、奥様と私の娘と皆で楽しく、時には日本の将来について、 私や娘にも分かるようにお話して下さいました。

もう少し時間が取れるようになったら、もう一度学校に通って勉強したいと申しましたら、「筑紫さんが居るじゃない! 知ってることは何でも教えるよ」と言っていらしたのに・・・。

私の『二十世紀の名曲たち』のアルバムが大好きで、よく聞いて下さいました。

水上勉先生、灰谷健次郎さん、筑紫さんと若狭の一滴文庫で『幻夢一夜』に集って20年余り。日本の美しさ、優しさ、そして愚かな所、 沢山教えていただきました。でも、私達が忘れてはならないこと、まだまだ教えていただきたかった。

「大きな声だけを聞くのではなく、小数の小さな声にも耳を傾けなければ、事の本質、真実は見えて来ない」とおっしゃってましたね・・・ 。

筑紫さんの眠っているような優しいお顔を拝見し、「お疲れ様でした、今度こそスローライフに・・・」、そうお別れを申し上げました。 筑紫さん、本当に本当にありがとうございました。

外に出ましたら、マスコミの方が一斉に押し寄せて、「一言!」「中の様子は?」と質問攻めです。大きな出来事なのは分かりますが、 私にはこの悲しみの中で答える術がありませんでした。筑紫さんはきっと苦笑いでご覧になっていることと思いました。

帰りの車の中、整理のつかない悲しみと割り切れない思いで涙が止まりませんでした

石川さゆり

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