なかにし礼さんは、あるインタビューでこんなことを仰っていました。
「石川さゆりはいま現存の歌手の中でもめずらしいくらいヒット曲に恵まれた歌手です。でも、いい曲というのは実は歌い手に負うところが大きいんです。ヒット曲ほどそうです。この人の芝居のうまさは偶然じゃない。言葉に即して作られる歌の心情や風景を石川さゆりがこれまで正確な描写で表現し歌ってきたことに裏づけされた芝居のうまさなんです」
実は『夫婦善哉』の演出家、星田良子さんがまさにこの「芝居のうまさ」を裏打ちしてくださるようなコメントを寄せてくださいました。ご紹介します。
「石川さんの芝居のうまさに並みの役者は負けると思います。それほど素晴らしい。感性と感情の動きの判断力のすごさ。蝶子という人物の感情を表現するにふさわしい方法論やトータルでパッケージされたときのご自身の立ち位置をわかっている。心が反応していくチカラとでもいいましょうか。並々ならぬ歌唱力に裏打ちされた演技力は日頃、歌い手として正味、五分間の勝負を繰り返しているうちに凝縮された感性のなせる業なのかもしれません。とはいえ、誰もが場数をこなすことで磨かれるのかといえば違います。凡人が磨かれて到達できるレベルではありません。これはきっと、もともと石川さんが生まれ持った感性なのでしょう。
芝居が素直で、本当にうまいなあと心底、感心しています。座長芝居と聞かされて最初は私も脅かされていたんですが(笑)、今回の座組は石川さん演じる蝶子さんが魅力的なので、その石川さんのエネルギーに惹かれて、みんなのやる気も目の輝きも日々、見違えるようにどんどんよくなっているんです。チームとして「石川さゆりの蝶子さん」に寄り添う。そんなプロジェクトになっている」。うれしいではありませんか!
千穐楽まで進化し続ける「チーム蝶子」をどうぞ、お見逃しなく!
中日劇場「石川さゆり新春特別公演」