「いま、みんなどういう気持ちになりたいのかな。みんな、どういう曲が聞きたいのかしら」ある日の食事中、さゆりさんはポツリとこんな一言を漏らしました。舞台に奔走する毎日でもモノづくりに対するアンテナは衰えることを知らないようです。聞けば、
『二十世紀の名曲たち』をレコーディングしていたときのことを思い出していたのだとか。
「昔の歌にはいい香りがしていた。
メロディや言葉から、いろんな風の匂いがしてきたものなの」
最近、街中で聞こえてくる曲に「匂いを感じない」と少しさみしそうです。
さゆりさんは作詞家の先生からタイピングされた原稿が届くと「手書きでください」とお願いし直すといいます。手書きの原稿でないと伝わってこないものがあるそうで。
行間から絵が見える、とよくいいますが、さゆりさんが感じ取っていたのはやっぱり匂い。「歌詞から匂いがする」。さすが、さゆりさん。舞台に立つ前、塗香で身を清めることを習慣にしているだけあります。この匂いのセンサー、気になりますね。引き続き探っていきます。